サステナビリティ経営(マテリアリティとSDGs)
サステナビリティ経営体制
当社グループは、ステークホルダーへの影響に配慮しながら、長期的な観点で事業運営を行うサステナビリティ経営により、SDGs達成および持続可能な社会への貢献をめざしています。当社およびステークホルダーにとって特に関わりが大きいと思われる15のマテリアリティを特定し、事業活動に統合して取り組むことで、戦略的にサステナビリティ経営を推進していきます。具体的には、特定した4つの柱とそれに紐づくサステナビリティ推進チームを結成し、15のマテリアリティに対し目標を定めて取り組みを実施、定性・定量評価、情報開示を行います。活動はサステナビリティ推進会議で統括し、年に4回推進会議で進捗や課題の共有と改善を行うとともに、年に1回以上取締役会に報告、重要事項は適宜経営・戦略会議に諮ることで、サステナビリティ課題への取り組みを実効的に推進します。なお、達成状況や事業環境の変化に応じてマテリアリティは適宜見直しを行います。

15のマテリアリティ

マテリアリティとSDGs
サステナビリティに関するマテリアリティ(重要課題)
太平洋工業グループは、2019年にめざすべき将来像として、長期ビジョンを「PACIFIC GLOCAL VISION」に刷新し、ブランドスローガンを策定しました。そうした当社の企業としての価値観やビジョンを実現し、SDGs(持続可能な開発目標)を達成するため、2020年に2030年を目安としたサステナビリティに関する当社グループの重要課題(マテリアリティ)を抽出し、4つの柱となるテーマと、15のマテリアリティ、注力するSDGsテーマを特定しました。
サステナビリティ経営として、今後、これらのマテリアリティをベースに事業活動に統合し具体的な活動に落とし込むことで、GLOCAL企業としての競争力を磨き、SDGsの達成に全社で取り組み、将来にわたっての「存在価値」を高めていきます。
ステークホルダーに信頼され、地域社会に根ざし、共存・発展できる真のGLOCAL企業
1.ステークホルダーとの信頼醸成
- 企業倫理・コンプライアンス
- 責任ある調達
- 顧客満足度の向上
- 地域社会の発展
- 特に関連するSDGs
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持続可能な社会に向けて、コア技術を活かし、新事業・新製品・新技術を提供し続ける企業
2.製品を通じた社会・顧客課題の解決
- 持続可能なモビリティ社会と豊かな暮らしへの貢献
- モビリティの安全性向上
- 環境配慮製品の開発
- 特に関連するSDGs
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3.環境負荷の極小化
- 気候変動の緩和および適応
- 持続可能な資源の利用
- 水資源の保全
- 特に関連するSDGs
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社員の新しい発想や挑戦を大切にし、仕事と生活の調和が実感できる企業
4.人財の尊重と活躍
- 人権の尊重
- 安定した雇用と働きやすい職場
- 従業員の安全と健康
- 人財育成と挑戦できる風土の醸成
- ダイバーシティ&インクルージョン
- 特に関連するSDGs
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マテリアリティ特定プロセス
1.前提条件の設定
マテリアリティの条件を明確にした上で、ISO26000、GRIといったサステナビリティに関するグローバルスタンダードから項目を抽出し、当社の事業プロセスを踏まえ、妥当と思われる項目に整理。
前提条件
- サステナビリティに関するテーマ
- 2030年までの10年を念頭に置く
- グローバルでの重要性を含め検討
2.重要度分析
当社グループにとっての重要性の観点と、ステークホルダーにとっての重要性の観点から、1の項目の重要度を分析し、議論のたたき台としてのマテリアリティ・マトリックスを作成。
当社グループにとっての重要性
長期ビジョンや中期経営計画・CSR方針などから当社の大切にしたい価値観、財務面における機会とリスクの観点およびメガトレンド
ステークホルダーにとっての重要性
ステークホルダーからの期待や影響、主要な国際的なイニシアチブ等(UNGC※、OECD、SDGs、SASB※)、主要な評価機関(CDP※、日本政策投資銀行、FTSE、EcoVadis等)からの要求事項
- UNGC:国連グローバル・コンパクト、SASB:サステナビリティ会計基準審議会、CDP:カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト
3.議論と再検討
国内外のカーメーカー・自動車部品メーカーのマテリアリティ、および今後の技術開発の方向性、新型コロナウイルスの影響などを踏まえてマテリアリティを再検討。妥当と思われる項目に整理。
主な修正ポイント
「従業員の安全と健康」「安定した雇用と働きやすい職場」「環境配慮製品」の重要性を考慮
4.有識者レビュー
ESG投資と企業のマテリアリティへの助言で実績のある日本政策投資銀行のチームに、マテリアリティ策定プロセスと、課題についてご評価いただきました。
特にESG投資などサステナビリティについての情報ニーズの高い長期投資家の観点から、ご助言いただきました。ご指摘事項を今後のサステナビリティ経営に活かしていきます。
この豊富な情報を活かして、より貴社らしさが伝わるフレームワークを構築・進化させてください。
時間軸が2030年というのは短いように思われますが、サステナビリティ経営におけるマテリアリティの位置づけは明確であり、違和感はありません。特筆すべきは、その特定プロセスです。社会課題やSDGs、新型コロナウイルスの影響などさまざまなファクターを精緻に織り込んだ特定プロセスですので、詳らかに開示することが望まれます。
今後に向けて期待したいのは、特定プロセスで整理された豊富な情報を活かして、より貴社らしさが伝わるフレームワークを構築・進化させていくことです。機関投資家を念頭においたマテリアリティの観点からは、「製品を通じた社会・顧客課題の解決」というテーマは、貴社の成長戦略を社会課題と絡めて語るうえで最も重要な「攻め」のマテリアリティです。新型コロナウイルスの影響や国内外で高いシェアの製品をもつ貴社の社会的な重要性を鑑みると、事業継続性の観点から「自然災害等への対応(BCM・BCP)」や「責任ある調達」の情報は重要だと思います。また、子会社化されたSchraderグループを始めとする海外拠点の従業員の声も収集する等海外のステークホルダーもより意識してはいかがでしょうか。

執行役員(当時)
竹ケ原 啓介氏
5.承認・決定
戦略会議での議論を経て取締役会にて最終承認。各部門の課長以上にはマテリアリティの説明を行い、目的の共有を実施、社内浸透を進めKPIを定めてPDCAをまわしています。