太平洋工業の強み
技術開発の考え方
モビリティの大変革時代への突入、サステナビリティ課題の重要性拡大等を背景に、当社の技術開発は、これまでの主力とするモビリティ領域において、 LCAやカーボンニュートラルを踏まえた開発の加速、モビリティの在り方の変容を踏まえた製品提案、さらにはコア技術を活かした新領域への挑戦を、社外とも連携しながら進めています。
主に、プレス・樹脂製品事業では、軽量化に寄与する超ハイテン製品やアルミ製品への注力、電動化により相対的に重要度が増す快適性能向上のための樹脂製品開発等を進めています。バルブ製品事業では、Schrader社とのシナジー創出に加え、TPMSの事業領域の拡大に向けた開発、さらにはセンシング技術や流体制御技術などのコア技術を活かした電動車向けの製品開発を加速しています。
こうした主力製品への開発投資に加え、長期的な事業領域の拡大を見据え、センシング技術などを活用し、社会課題や顧客課題を先取りした新事業開発にも果敢に挑んでいます。
プレス事業では構造解析技術を高度化し、より上流段階からモビリティ開発に参画し、製造ノウハウの積み上げを図っているほか、樹脂・バルブ・TPMS・新規事業は、独自開発に力を入れており、特許の取得を積極的に進めつつ、社会・顧客価値の創造をめざしています。
モビリティの軽量化を
リードする多彩な加工技術
CO2排出量削減のために、燃費向上を左右する車体の軽量化が求められています。当社グループは、プレス成形領域の拡大と併せ、構造解析技術の深化により、ボディ構造の提案を行っています。衝突安全性を保ちながら軽量化の提案を進め、環境負荷低減と安心・安全を両立していきます。また、CO2排出量がホットスタンプ工法に比べて約90%削減可能な冷間プレス工法を得意としています。そのほか、需要が拡大しているアルミ材やGFRP材など、新素材を用いた製品の加工も積極的に行っています。
FCEV、BEVなど最先端の
電動車向け製品を供給
気候変動を背景に進むHEV、PHEV、BEV、FCEV等電動車へのシフトを踏まえ、電動車向け製品の開発・販売を加速しています。
プレス製品の軽量化に加え、樹脂製品ではモーター音などの防音・防振ニーズに対し、発泡ウレタン技術を深化させ新素材開発、工法開発・製品設計を進めています。
バルブ製品では、新型MIRAIに安全性を守る重要部品である水素燃料向けリリーフバルブが採用されています。
いくつもの世界トップシェアを誇るバルブ製品
創業製品であるタイヤ用のバルブコアは、重量わずか1グラムという小さな部品です。バルブコアは、タイヤバルブの心臓とも言える精密部品で、空気注入時には弁が開いてスムーズな流れを確保し、通常は空気を外へ漏らさない重要な働きをします。自動車になくてはならないこの重要な製品の生産・販売で、当社グループは国内シェア100%、世界シェア50%(当社試算)のトップシェアとなっています。これまで生産してきたバルブコアは、累計約200億本を数え、それらを合わせると地球から月までの距離にもなります。
なお、当社グループのバルブは、タイヤ以外にも、エアコンや船舶、産業機械など多彩な分野で活躍しており、高いシェアを有する製品が多くあります。
タイヤ向け タイヤバルブ
カーエアコン向け リリーフバルブ
車の安全・燃費向上に貢献するTPMS
当社は、タイヤ内部の空気圧や温度などをモニタリングし、走行中にドライバーに異常を知らせるTPMS(タイヤ空気圧監視システム)を開発・生産する国内唯一の送信機メーカーです。TPMSは、タイヤ空気圧を適正に保つことで、事故等を防止し安全性を向上させるとともに、燃費向上にも貢献する製品として、欧米をはじめ世界各国で装着が法規化されており、当社グループの主力製品として社会に貢献しています。当社グループはものづくり企業として徹底的な品質管理を行っており、TPMSはこれまで主力製品として20年以上生産・販売を続けているなかで、お客様からPacificのブランド・品質を認めて頂いています。
日本・アジア・北米・欧州の4極体制確立
当社グループは、世界4極に生産・販売拠点を有しており、情報やノウハウの共有、人財の交流を進めながら、グループ経営で価値を創造しています。2018年には、タイヤバルブで長年のライバルであったSchraderのバルブ事業を取得し、欧州での生産拠点が加わりました。このSchraderの技術開発機能も併せ、世界4極で連携しながら、グローバルにローカルの課題に向き合い、価値を創造しています。
企画から設計、生産までの一貫体制
当社グループは、企画・開発から生産まで、一貫して対応できる強みを活かし、グローバル基準の品質保証体制を確立しながら、ベストプライスを実現するオンリーワンのものづくりを推進しています。また、各部門が一体となってスピーディな製品開発を展開しています。
より効率的に高性能な製品を開発するため、製品設計段階で基本性能や形状をシミュレーションできるCAE(コンピューターシミュレーション)技術を活用するとともに、原材料から製品にいたるまでの性能評価や強度耐久試験といった各種分析評価を実施し、品質の向上に努めています。
当社のものづくりを支えるのは、絶えざるカイゼンへの姿勢をもつ人づくりと、長年培われた高度な生産技術力です。設備と金型は内製化を進め、技術の蓄積を図るとともに、次世代への伝承を推進しています。また、工場内ではAIやロボットを活用した自働化など、生産技術の革新に取り組んでいます。
コア技術を応用し、新事業の可能性を拡大
当社は、自動車以外の分野でも社会に貢献できる新事業・新製品の開発を強化しています。特に、TPMSのコア技術である無線・センシング機能を応用し、物流・食品・医薬・畜産業界など新たな領域での課題解決に向けた新製品の開発を加速しています。
2021年に上市したマルチセンシングロガー「e-WAVES」は、温度、衝撃など6つのセンサを搭載し、リアルタイムに監視できる製品です。
食品や医薬品等の輸送・管理状況の見える化により、新型コロナウイルスワクチン管理をはじめ、廃棄ロスの低減、物流の効率化、DX化によるCO2削減など、お客様とともに社会的課題の解決に貢献していきます。