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IoT製品

IoTで次世代の物流に新たな価値を。マルチセンシングロガー「e-WAVES」

技術開発部
N.K

独自技術を応用し、e-WAVESを開発

近年、自動車業界に限らず社会全体でデジタル化・IT化への流れが著しいと感じています。そこで数年前から、当社も従来培ってきた独自技術を活用し、IoT製品等、新たな開発にも力を入れてこうという動きが強まっています。そこで今回、TPMS送信機のコア技術である無線通信技術やセンシング技術を応用して開発したのが、マルチセンシングロガー「e-WAVES」です。
e-WAVESは物資輸送時のトラックなどの荷室に積んで使用するもので、位置情報と同時に温度や湿度などの環境情報をセンシングし、データをクラウドからリアルタイムで確認することができます。LTE網が利用できない環境下では自動的に本体内のメモリに記録されるモードに切り替わるため、飛行機や船舶での輸送時にも活用できます。

※TPMS…Tire Pressure Monitoring System(タイヤ空気圧監視システム)

e-WAVES

e-WAVES
枠線内が当社サービス範囲

業界最多の6種類のセンサーを搭載

e-WAVESの一番の強みは、位置・温度・湿度・照度・衝撃・気圧の6つの項目の計測が可能な点です。近年、医薬品におけるGDPガイドラインや、食料品におけるHACCP管理手法などにより、物資の流通過程においても厳重な品質管理が求められるようになっています。開発当初、他社製品では2~3種類のセンサーを搭載しているものが一般的でしたが、それでは現代の物流品質を管理するには不十分なため、複数のロガーを荷室に積む必要がありました。そこで当社は、6種類のセンサーを搭載したロガーの開発に着手しました。機能が増えれば必然的に回路もソフトウェアも複雑になってきます。そのため、意図しないデータ取得ミスの解消や、小型化、消費電力の抑制などの設計課題をクリアするには、かなり高いハードルがありました。しかし開発チームのメンバーで協力し、それらの設計課題を乗り越え、他社を凌駕する高精度のロガー、e-WAVESを開発することができました。

  • ※GDP(Good Distribution Practice)…輸送・保管過程における医薬品の品質を確保することを目的とした国際基準
  • ※HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)…食品等の事業者が原材料の入荷から出荷・提供までの工程を監視・管理する食品衛生基準
6つのセンサーを搭載

6つのセンサー

SDGsにも貢献する次世代に向けたものづくり

e-WAVESは、-80℃~80℃までの温度帯が計測可能なため、新型コロナウイルスワクチンの輸送・保管温度管理にも採用されています。また、e-WAVESでのモニタリングにより、食品輸送時の品質管理が可能となり、食品ロスの削減にもつながるのではないかと考えています。こうして当社が開発した製品が現代の物流ソリューションの一助を担うことで、SDGsにも関わる社会貢献ができることを期待しています。
2021年4月にe-WAVESの販売が始まり、量産も行われている中で、現在、実際に製品を使用したお客様からフィードバックの声が届いているところです。それらのご要望を踏まえ、次モデルの開発を進めています。操作性の更なる改良や機能の追加など検討を重ね、太平洋工業ならではのものづくりで現代の物流を支えていきます。

技術者としてのこだわり、思い

IoT業界は技術革新が特に早いため、当社としても開発スピードを緩めず注力していきたい分野です。この事業に関わる製品は自社製品であるため企画からすべて当社で行っており、ゼロから作り上げていくことは大変ですが、製品が完成した時はその分やりがいを感じています。社内ではさまざまな役割の社員が各々の知見を活かして仕事をしているため、開発部内だけでなく、広く協力を仰ぎながら開発が進められる点も太平洋工業ならではのものづくりにつながっていると感じています。
e-WAVESは、当社の新たな事業の始まりの一つに過ぎません。これからどんどん新しいプロジェクトに挑戦し、幅広い分野の製品を開発していきたいです。