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樹脂製品

高い意匠性と環境配慮を両立する、リサイクル可能な樹脂製品

第2製造部
N.M

樹脂事業の主力3製品について

樹脂事業では主に3つの製品を手掛けています。
まず1つ目はエンジンカバーです。現在、自動車の電動化に伴い、モーター音の異音・騒音に対する防音・防振ニーズが高まっています。そこで当社ではノイズ対策を強化させた発泡ウレタン材を自社開発しました。軽量化と防音性能を両立させた当社のエンジンカバーは、トヨタのレクサスをはじめとする高級グレード車にも採用されています。
2つ目は、ホイールキャップです。高意匠で軽量かつ、タイヤ周辺の風流れを整えて空力性能を向上させる製品を設計開発しています。そして3つ目は、センターオーナメントです。めっきレスで高い意匠性を確保しており、100%マテリアルリサイクルが可能な製品です。

エンジンカバー
ホイールキャップ
センターオーナメント

太平洋工業独自のフィルム加飾技術、インモールド成形技術

自動車用ホイールキャップ、センターオーナメントには、フィルム加飾技術、インモールド成形技術が使われています。これは、製品の「成形」と「転写絵付け」を一体化させた成形同時転写工法です。成形機に“箔”と呼ばれるフィルムをセットし、そこに樹脂を流し込むことで成形と表面加飾(フィルム印刷柄の転写)を同時に行います。通常は成形後に塗装をし、組み付けを行って製品が完成するという工程ですが、成形と複雑な柄や多色の転写が同時にできる分、生産性が向上します。また、例えば黒とシルバーなど2色の塗装が必要な場合には段階的に塗装を行う必要がありましたが、フィルムに予め複数色をプリントし一気に転写できる点も、大幅に作業時間が短縮できる要因となっています。
自動車の外装樹脂製品としては、当社が日本で初めてこの工法を開発しました。これにより、廃棄の際に環境負荷がかかる「めっき」を使用しなくても、意匠性が高い加飾を施すことができ、リサイクル可能で環境にやさしい、循環型社会に適した製品の提供が可能となりました。2020年度には、トヨタのヤリスクロスに当社のモールディング製品が採用され、デザイン性向上に寄与しています。

インモールド転写工法工程フロー
①転写箔の位置決め
②射出成形及び転写
③成形品の取り出し
ヤリスクロスに当社のモールディング製品が採用
ヤリスクロスに当社のモールディング製品が採用

より高いレベルのものづくりをめざす「トヨタ自主研究活動」

これらの太平洋工業の技術力・製品力を維持・向上させるために、「トヨタ自主研究活動」という取り組みがあります。トヨタグループをはじめとした複数社から技術者が集まり、当社のものづくりについての課題を抽出し、改善のための研究活動を行っています。今、樹脂事業として取り組んでいるのが、ホイールキャップの生産性向上です。実際の製造現場を見て、作業スペースの確保、作業動線の短縮、設備停止の頻度削減など、作業する技能員や監督者とコミュニケーションを取りながら課題改善に向けて動いています。全社的に自然環境への取り組みに力を入れる中で、ホイールキャップの塗装工程のシンナーレス化という課題もあります。従来、塗装の際に使う治具に塗料が付着したら除去のためにシンナーを使用していましたが、製造工程の中の環境負荷低減をめざし、従来の方法を変えるべきだと改善活動に取り組んでいます。

技術者としてのこだわり、思い

今や自動車は人々の生活になくてはならないものです。業務を通して自動車製造の一端に関われていることにとてもやりがいを感じています。樹脂事業の中のホイールキャップは、国内で大きなシェアを誇る製品だけに、自主研究活動での一つひとつの改善が、品質・生産性の向上やコスト低減につながり、お客様に還元されます。引き続き、自主研究活動に積極的に取り組んでいきたいと思います。
また、なんでも自由な形を作れる樹脂事業には可能性を感じています。オールウレタン材やインモールド成形技術など当社独自の技術力を活かし、自動車業界だけに限らない発展に貢献していきたいです。