トップ対談|太平洋工業株式会社

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トップ対談 未来に向かう心構え。 太平洋工業株式会社 代表取締役社長 小川 信也×サッカー元日本代表 FC岐阜監督 ラモス 瑠偉氏ラモス瑠偉氏 プロフィール FC岐阜監督

期待に応える、という使命

小川:サッカー元日本代表からFC岐阜の監督まで、サッカー界の第一線で活躍を続けられているラモスさんのご経験やお考えから、当社のグローカル経営へのヒントをいただければと思います。まずは監督業としての状況を伺いたいと思います。
ラモスさんが監督に就任されてから、FC岐阜は大きく変わりました。昨シーズンはチーム成績17位と上昇し、後援会員数は倍増、ホームスタジアム累計入場者数は15万人を超えました。世間の期待や注目度も格段に上がったように感じます。

ラモス:ありがとうございます。もともと、FC岐阜の監督を引き受けたきっかけは、信頼し尊敬している友人のJトラスト藤澤社長から、「FC岐阜の監督をやってくれないか」と突然言われたことです。最初はびっくりしましたね。ずっとJリーグは、関心をもって見ていましたが、FC岐阜の監督になるとは思ってもみませんでした。しかし、藤澤社長と話をしていくうちに「故郷である岐阜に恩返しをしたい!子どもたちに夢を与えたい!」という熱い思いに心揺さぶられました。そこで、一気にクラブの雰囲気を変えるためには、何人かの信頼できる選手と一緒ならと藤澤社長に相談したところ、「どうぞ、やってください」ということだったので、引き受けることにしました。

小川:そうでしたか。FC岐阜の最初の印象はどうでしたか。

ラモス:まだプロでの歴史が浅いからかもしれませんが、とにかく選手のプロ意識が低かったです。そこで、私が連れてきた選手達に、FC岐阜の若い選手達の鏡になって頑張ってくれるようにお願いをしました。試合には勝ち負けがありますから、勝ちたいという姿勢を見せることが大事なのです。太平洋工業も含めて、多くの岐阜の企業、人々がFC岐阜を応援してくれています。勝ち負けも大切なのですが、何よりその前に応援してくれるファンやサポーター、県民の皆さんの期待に応えられるよう、意識改革に取り組んできました。

小川:サッカークラブ同様、私達企業も、社会の期待に応えるために、仕事をしているという気持ちを忘れてはいけないですね。働く人がいて、地域と共に成長していくという視点が必要です。当社がグローカルといっているのは、そのような理念なのです。社員には家族もいます。
地域には仕入先様やお取引先様もいれば、株主の皆様もいます。そして何よりもお客様ですね。そういった当社を取り巻く様々な人達、ステークホルダーと呼ばれる皆様と一緒に成長させていただくことが大切なのです。

一丸となってこそ、難局は乗り越えることができる

小川 信也

ラモス:勝敗は重要なことですが、その前提条件としてチームの一員として頑張ることができるかどうかということが大事です。私が東京ヴェルディの常務取締役をしていた時に、ある企業の新入社員に向けた講演をする機会をいただきました。その時に私は、「なぜここにいるの?この会社に入りたくて入ったのでしょう。ならば恩返しをしなさい。必死で仕事をしなさい。そうすれば、必ず誰かがあなたの姿を見ています」と話しました。そのような心がけと行動で、ビジネスマンとして成長していくと思いますね。

小川:ちょうど今、FC岐阜は苦しい時期を迎えています。当社も2008年のリーマンショックの時期は、非常に大変だったことを思い出しました。その時に大切だと感じたことは、組織全体で一丸となって、目の前の難題に取り組んでいくことができるかどうかです。そして経営側は、つらい決断をしなくてはならないこともあります。計画してきたことを一時中断したり、積極的投資から償却内投資に切り替えたりして、投資金額を抑制しました。そうすると、現場からどんどん知恵が出てきました。そしてそれが具体化してくると、みんなニコニコ顔になりましたね。やりきれるという自信が出てきて、次の段階に向けてチャレンジすべきポイントも見えてきます。そのようにして開発された技術を、お客様が買ってくださるなど、好循環が生まれるようになってきました。

ラモス:なるほど。やはり組織が一丸となって必死に取り組むことが重要なのですね。私が岐阜に来て良かったと思うのは、小川さんのように素晴らしい経営者の方たちにお会いできたことです。景色がいいとか、食べ物が美味しいなども魅力なのですが、何よりも、支えてくださる皆様の人間性が素晴らしいと思います。難局を乗り越えるためにはリーダーの人間性は重要ですね。

小川:いやいや、人間性という点では、ラモスさんも素晴らしいと感じています。何人か選手の皆さんとご一緒したパーティの時に、監督自ら率先して、最後の片付けをしておられましたね。ラモスさんはサッカー界のスーパースターではないですか。でもそれに甘んずることなく、選手やサポーターの方々に対する気遣いやおもてなしを常に考え、今ここで仕事ができることへの敬意も忘れない。そのようなことはサッカーだけではなく、日本社会に必要な共通意識ですね。

ラモス:そうですか。私個人としては、スーパースターなどという意識はないですね。私はFC岐阜の監督なのです。監督という立場でチームを統率し、一丸となってこの難局を乗り越えていくために何ができるのかを模索しています。

小川:サッカーと同じように、我々のようなものづくり企業もチーム力が重要です。営業や管理部門、開発や生産技術部門、品質保証部門、現場でものづくりに携わる製造部門など、それぞれの部門が流れをもって仕事をしています。自分の工程でしっかり仕事をし、次の工程はお客様と思って仕事を渡すことが大事です。不具合があった時には、真の原因を追究し、再発防止に努めるためには、各部門が役割分担を認識し、目線を合せてコミュニケーションをとり、共通認識を持って取り組んでいくことが大切なのです。そして重要となるのが、社員同士、部門同士の信頼関係です。

 
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