CSR・環境情報

多様なものさしを議論する「仕事のやり方改革委員会」

林:今日の座談会の中に、ソフトテニス部のキャプテンがいらっしゃいました。試合で職場を抜けるようなことがあっても、いつも職場の皆さんに応援してもらい、支えてもらっていることに対し、大変感謝していらっしゃいました。また、キャプテンとしてチームをまとめあげる苦労はあるかと思いますが、そうした経験から得られたリーダーシップの醸成は、女性活躍推進としても今後の会社生活に大いに活かされると感じました。

小川:当社では、ソフトテニスをシンボルスポーツとして取り組んでいて、男子と女子で10数名、会社の看板を背負ってトップリーグで戦っています。彼女らは、仕事をする前提で入社してきていますので、就業時間後に練習をしています。土日の試合の時には、金曜日から行きますので、その度に仕事の調整も必要です。彼女らの求められる成果は勝利です。その結果に対して「よく頑張ったね」と肩をたたいてもらう。そういう職場の雰囲気がないと、いいプレイはできません。職場でのコミュニケーションがあってこそ、彼女らは戦えるのですよ。

林:そうした職場の良好なコミュニケーションが彼女らのモチベーションに繋がっているのですね。今日の座談会に、車椅子の障がい者の方もいらっしゃいましたが、職場の方々と共に、モチベーションを高く持って仕事をされている様子が伺えました。太平洋工業には、多彩な人財が集まっていて、一律の同じものさしで人財の評価や育成をしているわけではなく、各々の社員の持ち場があり、ご本人たちもその持ち場が全体の中でどのような位置づけなのかを認識して、自分自身に自信を持つと同時に、他の方への感謝もあって、いい意味で照り返しになっている。それがまた、社員の成長に繋がっているという好循環ができていると感じました。

小川:今まで当社では、働き方改革に関連した制度は、法令に先行して充実してきたと自負しています。しかし、やや個別に充実した印象もあったことから、もっと体系的に整理して、個々の社員の満足度を高めるために、組合や社員代表と論議する「仕事のやり方改革委員会」を発足しました。2018年7月には、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が公布されました。今後ますます、経営者と社員、家族も含めたコミュニケーションを高めていかなくてはならないと思っています。

林:そうですね。そのコミュニケーションの基本は、上司との面談です。それにプラスして、やはり女性同士で相談したいという場合もあるでしょうから、女性管理職を育成するとか、ロールモデル的な人財によるメンター制度の導入も、今後の検討課題だと思います。

心の琴線に触れるDNA「PACIFIC VALUES」

林 正子氏

林:私自身の研究分野は、明治期以降の小説・評論です。特に森鷗外をはじめとする近代日本の作家におけるドイツの思想・文化の受容の意義をテーマとして研究してきました。文学研究者としての関心から、対談を始める前に、小川社長さんに太平洋工業の社名の由来を質問しましたね。

小川:創業者の小川宗一は、「The Pacific Ocean」という言葉が好きで、世界を相手に事業展開したいと「太平洋工業」と名付けましたが、「小川が流れて大河となり、太平洋の大海原へと繋がっていく。」とも言われています。

林:文学を勉強してきた者として、この社名の由来は、心の琴線に触れるものでした。ワーク・ライフ・バランスやダイバーシティの前提というか、根源にある理念そのものだと思います。個々の人間の成熟や成長が、会社への貢献にもなるし、会社も人を大事にするという相互の営みの中から、家庭生活そして地域社会、日本へ国を超えてグローバルにといった営みへと昇華していく。その思いが、既に社名に織り込まれていると思いました。

小川:創業者の小川宗一が、想いを込めてグローバルな社名をつけてくれたおかげです。

林:はい。さらに素晴らしいのが「PACIFIC VALUES」です。

小川:「PACIFIC VALUES」は、創業85周年の節目を機に、創業者はじめ先達の体験と行動を、太平洋工業グループの社員が共有していく普遍的な価値観としてまとめたものです。私たちの心構えを「夢と挑戦」・「信頼と感謝」という言葉で表しました。「夢と挑戦」は、常に夢を持ち、失敗を恐れず挑戦する。失敗しても次の夢への糧とし、その夢を追い続けることです。失敗を恐れず挑戦する行動力こそが、企業や個人の成長に繋がると思います。「信頼と感謝」は、「和・チームワーク」を大切にして信頼関係を築くこと、常に相手の立場に立って考え行動し、自然に「ありがとう」という感謝の言葉が生まれる風土をつくることです。これは、地域をはじめ様々なステークホルダーに対しても、常に「信頼と感謝」を大切にするという想いがあります。

林:このようなDNAを持った会社の一員になることが、社員の皆さんの誇りだと思います。だから、皆さんいきいきと活躍なさっていらっしゃるのではないでしょうか。

小川:2018年8月には、自動車・産業用機械等のバルブを製造・販売する、Schraderグループ3社を子会社化しました。100年以上の歴史を持つ海外の会社をグループの仲間として迎えることは、当社にとって大きな挑戦です。そこで、当社流に拘らずに、Schraderのいいところを大切にしながら「PACIFIC VALUES」の浸透を進めていくことで、シナジーの最大化を図ることにしました。フランスと米国の会社を加え、日本・米国・欧州・アジアの四極体制で業界のリーディングポジションを築くことができ、当社がめざす「トップクラスのGLOCALな部品メーカー」の達成に向け、大幅な前進ができると確信しています。それをやってくれるのはこれからの若い人たちです。

林:洞察力と柔軟性あふれる挑戦ですね。ぜひ成功させてください。

小川:先般、森鷗外の若い頃の直筆資料が発見されたと聞きました。先生は、ワクワクされたことと思います。私どもも、林先生には、欧州の文化や風土を、文学的視点からご教授いただくことも増えると思います。その時には、ぜひご指導ください。今日は本当にありがとうございました。

林:こちらこそ、どうもありがとうございました。御社のますますのご発展と社員の皆さんお一人おひとりのご活躍を、心よりお祈りしています。

小川 信也×林 正子氏

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