トップ対談|太平洋工業株式会社

CSR・環境情報

徹底的に話し合うことで多様性を活かす

小川:中西先生は、新しいことに取り組む際、スタッフに対してどのように指導しておられるのですか?

中西:取り組む前に徹底的に議論をします。なぜこれをやるべきなのか。どういう新しい展開がもたらされるのか。どこに問題があるのか。そういったことを周辺グループのスタッフも入れて何回も議論をします。そうするとより良い方法が出てきます。そして、納得して皆で取り組むことが大事です。

小川:当社の超ハイテン材の冷間プレスやホットプレスなどの技術開発でも、皆で議論を重ね推進しています。トップランクの人の話を聞くために足を運んだり、技術書を読んだり、材料組成を変えてみたりと、各々が努力して完成に近付けていきます。そして何回も失敗をしてトライを繰り返し、「ダメかな」と思った時に見えてくるものがあるのです。

中西:素晴らしいですね。集団における価値の創発という意味では、最近人材の多様性ということが言われていますが、基本的には責任者が、それぞれがみんな違った能力を持っていること自体を認識していないとダメですね。自分の価値と自分の判断で、こうあるべきだといったら価値創造は起こりません。そして違う能力をどうやって活かすか。ですから一生懸命議論をして、トライさせて、そして最後は守ってあげる。こういった見極めと信頼が大切ですね。そうすると強いチームができるのです。

小川:認めるということですね。そのためにはお互いがリスペクトすることが大事ですね。最近では、専門性が高く、当社の弱いところを補ってくれる中途入社の社員が多くなりました。皆優秀ですが、風土の違い等から当社の組織に融合できなかったりすることも散見します。そのような時に大切なのは、やはり徹底的に話し合うことですね。そうして信頼関係ができた時には一気に開発のスピードが上がります。このような動きができる現場は、リーダーの度量の部分が大きいと感じています。

中西:そうですね。異なる意見があってもそれを包摂し、多様な価値観を認め合い、その中から生まれるものが面白いし、新しい発想や価値につながっていくのです。

原理原則を理解して行動することの大切さ

ラモス瑠偉氏

中西:私たちの場合、直接医療現場に採用されなくても原理を見つけるだけで評価されますが、企業は実用化しないと評価されないのが大変なところですね。

小川:そうですね。しかし原理をつかむことは重要です。私たちの開発は、実験計画法的に条件を変えながら進めている中で、解決できたというようなこともあります。しかし、その背景にある原理原則を把握していないと、それは単なる偶然の産物で、技術とは呼べません。それは研究開発に限らず、改善活動や課題への取り組み方において、原理原則を考えることは大変重要だと思います。

中西:原理原則を考えるということは、自然と対話するということです。環境問題などもそうなのですが、基本的には科学として論理的に考えないとダメですね。自然との共生ということも、頭の中だけで判断しては解決しません。遺伝子工学でも、神がつくった遺伝子を操作するのはどうかといった、宗教論的な観点から非常に危険視された時期がありました。でも本来は、科学的な問題として、メリット・デメリットを明確にすべきです。ただし、科学だから正しいと決めつける前に、どんな問題が起こるのか想像できるナイーブな感性も大変重要です。そのうえで、むやみに怖がったり恐れたりしないで、科学的な視点で正面から向き合う。それは、貴社が原理原則を重要視されるのと同じですね。

小川:我々は、この原理原則を理解し行動系に置き換えるために、「現地現物で真因追究」という取り組みを行っています。何か起こったら、起こった現場に行って現地現物で真の原因を追究しています。また、5回なぜを繰り返す「なぜなぜ分析」を行っています。なぜを繰り返すと、本質的な課題や原理原則が浮かび上がってきます。ここを抑えることで、同じ問題を防止するのみでなく、新しい設計に織り込むといった全体のレベルアップにつながっていきます。

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